ブログはトラックバックの夢を見るか

日記・雑記・私的話題

ブログ登場の頃には「トラックバック」という機能があったのを記憶しているでしょうか? 今で云うところの「引用リンク」に似た機能で、パーマリンクに対しての言及記事などにピンバックを行う機能でした。これがブログの「繋がる機能」と呼ばれた所以のひとつであり、記事の連鎖を構築する特筆する機能だったのですが、早々にしてスパムの踏み台にされいつの間にか姿を消してしまった機能です。コメントスパムと並んでスパムの温床になってしまったこの機能には相応に対策が施されていったのですが、SNSなどで代替的な言及方法などが模索される過程でその必要性を失ってしまったらしく、今では多くのブログサービスでその姿を消してしまったと言われています。SNSでブログ記事を紹介する一連の流れが確立されだしたのはTwitterやFacebookなどでの引用機能が実装された頃からだったと記憶しており、トラックバック機能はおおよそ数年でその機能を消失したという計算になります。

SNS普及以前は検索経由でのサイト参照が一般的であり、それに乗っかるためにブログについての研究が多く進められたと言われています。その多くは情報集積サイトとしての道を模索したと言われており、それがアフィリエイトを積載した広告サイトに取って代わるようになり、その過程で「ブログのスパム化」が成されてきたと言われているようです。当時まだ1GBが貴重な時代に、テキストデータでメガバイト級のスパムトラフィックがあったという話に遡ると言えばその膨大さが伝わるかもしれません。コメントスパムには認証方式による投稿システムの確立でもってある程度の駆逐が図られたのですが、トラックバックにはそれに相当する機能が確立できず、SNS普及のタイミングで自然消滅したと言われているようです。

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アフィリエイト性悪説とも言える「広告コンテンツの是非」についてはこの頃から沸き立つようになり、「広告コンテンツが中核コンテンツを殺した」などと揶揄されるようになったのですが、その話はまた別の機会に掘り返したい次第。広告コンテンツの利用促進によってブログコンテンツは確かに注目を浴びることになったのですが、収益化をピックアップしすぎたのは否めず、結果としてコンテンツ不在の「中抜きブログ」や「空洞ブログ」の乱立を招いてしまったのですが、それでも遅かれ早かれマネタイズ施策の登場によってブログの骨抜きシステムはどこかしらのタイミングで加速するものと思われ、結果として「愛のないブログの量産」に終始したものと思われる次第です。こうして俯瞰してみると、そもそもブログメディアのほとんどが「愛のないコンテンツ」になってしまっており、やがて朽ちるのみのウェブリソースだったブログに対してのこれらの施策は至極普通に訪れる結果だったのかもしれません。良いか悪いかはさておきとして、マネタイズ施策によるメディアのオワコン化は避けられぬ必然なのかもしれません。

トラックバック機能は引用を介する仕組みをつかったものだったので、その記事に関連付けられた記事トラックバックは「そのコンテンツと関連性がある」という認識を一定量持たれていました。初期のトラックバックは管理者のチェックすらも無く引用リンクが張れた都合、「内容をなりすました記事」に悩まされました。当時は「トラフィック・エクスチェンジ」などのページビュー荒稼ぎの仕組みなどもあったため、毎日膨大な機械的トラックバックの識別仕分けに奔走したりする羽目になったりと、本来必要としない労力をどうでも良いスパム系ツールの対策に取られるブロガーが大量発生するようにもなり、ブログサービス各位が対応に追われていたのですが、いつの間にやら各SNSがブログ言及機能を踏まえてサービスを展開するようになり、それに取って代わるカタチでトラックバックはいつの間にかその機能を「無かったこと」にしていました。実際に引用の判断基準は悩ましい部分でもあったので、乗っかった方が建設的だったのかもしれません。

ブログをヘビーに扱うガチ勢にとって、トラックバックは論争劇の刺激のひとつとして魅力のある機能だったと言われています。ただ、そんなガチ勢の熱量ある1記事を採りあげるために無数に飛んでくるスパム・トラックバックの仕分けは膨大すぎたというのが実情で、多くのブロガーは辟易とする事の方が圧倒的だったと言われています。純然たるガチブロガー勢とアフィリエイトブロガー勢との確執にも似た温度差は今なお続いているといわれていますが、今となっては、どの選択肢が的確な選択だったのかを決定づけるのは難しかったのではないかというのが本音の言葉だと思う次第です。多くの新規ブロガーの人は名も知らないであろうトラックバック機能ですが、今のツイッターで言うところの「少々使いにくい引用リンク」と思ってもらえればニュアンスは伝わるかもしれません。

昨今のブログ執筆者はどんな思惑をもってブログを執筆しているのか、少なくない興味関心が有ります。

今はもうブログという手間暇の掛かる発信メディアを介した情報発信よりも、SNSで多少長い文章で表現した方が、効率も良く集客効果も見込める情報発信が出来るのかもしれません。また、つながりそのものが効率的拡散効果を持っているという仕組みの都合上、不特定多数に向けて無鉄砲に発信を図るブログメディアはもうすでにオールドメディアの仲間入りした旧世代の情報発信手法なのかもしれません。私たちブログメディアの中の人は今後もブログを綴ることに変わりはないだろうし、そんな人々の文芸趣味の受け皿としてのブログはこれからもそれぞれの在り方を模索しつつ存在していくのでしょうが、ブログには今なお多くの人々の膨大なエネルギーが注がれており、時々こうやって過去に存在した機能やら何やらに思いを馳せて欲しいと思う次第です。確かにそれによって知った知識や、得た人脈があった、そんな昔話ではありますが。

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