3月にJR各社のダイヤ改正を控えていますが、ローカル線を中心に地域との「鉄道の立ち位置の見直し」が進んでいるようで注意深く見守っている次第です。おおよそのダイヤ改正の骨子は確定済みとのことなので今は実施後のデータ待ちの状態になっているようですが、多くの地域で「地域社会の鉄道への介入意欲」が観測されたように思います。とりわけ鉄道網と駅施設などは地域社会へ密接に紐ついている仕様上、ダイヤ改正後の方針や方策をどう取り決めていくかという地域とJRのやり取りが気になるところです。また、JRから切り離された第3セクターの方の方針や舵取りの方も気になるところで、今後の鉄道の在り方を含めいろいろな角度から注目している次第です。
最大の焦点はやはり「経営状態による存続問題」でしょうが、営利企業が営利目的で維持するという方針であるのであれば「鉄道の分断は進んでいく」のは必然ではないかと思う次第です。在来線の鉄道網は敷設当時の需要を鑑みた目的地との都市間輸送を基軸に策定・敷設されているため、時代背景が激変してしまった昨今の事情とは乖離している部分も多くあります。また、旅客輸送よりも貨物・資源輸送に特化した路線も複数あるため、災害などを理由に鉄道分断が進む可能性も否定出来ない要素になっています。在来線の旅客輸送は地域輸送が主体である都合、これから線路と駅などの「ランドマークをどうやって扱っていくか」や「避けられない維持赤字は増える問題への取り組み」などが注目されるものと推測されます。
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国鉄という「公的機関」からJRという「営利企業」に転換したことで、鉄道の運営や方策は大きく転換しました。もっとも進んだのはやはり「合理化」であり「不採算路線の廃線」であったと思われ、新幹線延伸などの節目を境に多くの在来線が「不採算による分断」の憂き目に遭った次第です。鉄道の廃線には地域の反対意見などが一定数上がっていたことを観測していますが、鉄道維持には多くに付帯負担がある都合上、渋々ながら受け容れられてきた側面があります。また、近年多発傾向にある自然災害も廃線を加速させる一因になってきたとも言われています。総じて「採算性」が主理由になっており、営利企業が故の「営利性ありき」が本来の公共性を削いできたという側面を観測し続けるに至っている経緯と次第があります。また、これらの方策はコロナ禍による輸送制限によって加速度的に進行する時期があったこともあり、ここ数年で廃線議論は劇的に件数を増やしてきたという側面も気になるところです。
ローカル線の維持に付帯する諸問題
地方交通線に於ける旅客輸送はほぼ毎年低下傾向にあるため、多くのローカル線が「赤字が継続して増加する」という前提で話がされている実情がある。過去の美祢線などの「貨物輸送が主体であった路線」も、旅客と貨物の管轄が分断してしまった昨今は確保が難しい状況になっている。専用線を敷設してまでの輸送需要を持つ企業があるかといえば無いのが実情であり、昭和中期~後期のような柔軟な運用の列車編成が組めなくなったという問題も含んでいる。
合理化には限界があり、昨今は駅施設の簡略化や無人化などにはじまる「省力化」が進んでいます。しかし、過度かつ加速度的に進んだ合理化による弊害も複数観測するに至っており、JRに改善を要求するというニュースは定期的に観測される程度には発生しています。現時点に於いてJRは無人化や省力化を止める予定は見せておらず、引き続き「鉄道事業の黒字化と不採算路線の整理」に力を入れるものとみられます。故に今後も鉄道利便性の低下や利用時の混乱等は引き続き上昇傾向に推移するものと考えられる次第です。これらの諸問題に対しJR側は単独での対策へは消極的姿勢であり、あくまで「地域社会側の介入」を前提にこれらの問題に対応していきたいという姿勢にとどまっているようです。
鉄道を「生活の中核的インフラ」と位置付けるのであれば、やはり地域の積極的な介入が必要になるものと思われます。「改善費を全負担してでもJRに要求を持っていく」くらいの姿勢でなければ、既存の鉄道網は維持困難に陥るのは時間の問題まであるという話になってきているように見えます。それくらい日々の輸送事情は低下の一途を辿っており、比例するようにローカル線沿線が限界化している実情があります。また、経営視点でしか情報を得られないJRに対して地域が情報を一定量提供しない限りJR側も対策の方針を組めないという実情もあるため、ここに来て「地域と鉄道の二人三脚体制の確立」は鉄道維持の必須事項になってきているようにも思います。また、新幹線網も社会的情勢などから盤石な状態が続くとも限らないため、これからは「鉄道網上の都市がJRへの陳情を含めた情報提供や資金援助」などを継続的に行っていくという方策も視野に入れる必要がありそうです。
第3セクターでの取り組みの傾向
JRから切り離された並行在来線区間では、地域主体の利用向け改善策が盛り込まれるケースも出てきている。ただそれは「輸送が一定量確保できる」地域に限られており、地方交通線に於いては継続的に赤字を出すしかない実情を抱える区間も多く存在する。鉄道を「どのようなインフラに位置付けるか」は地域の判断に依存する部分が多くなってきており、結局のところは「だれがどうやって赤字部分を補填しながら運用するか」という議論に終始するケースが多いと言われている。
鉄道の維持に関しては昨今多くの施策が注目されており、一部では試験的な運用をはじめている事案もあると聞きます。新幹線の速達貨物輸送や在来線の混合列車的な運用計画、無人化した駅の再利用計画など挑戦的な方策も模索されており、時期的にはかなり後手に回ったとはいえ「鉄道インフラの利用の在り方」について議論する機会は増えてきました。これから鉄道網の維持は地域や企業・団体が一定量担う形になるのはある意味必然になるのかもしれませし、鉄道利用に於いても「個人や団体が運用に参加する」という方策も可能になってくるかもしれません。少なくとも既存の運営・運用での鉄道維持が困難を極めつつある昨今に於いては「過去の運用方法を覆すような妙案」が必要になってくるのではないかと推測され、もっと個人や団体・地域が「参加しながら運営する」という「地域参加型インフラ」という立ち位置になるのかもしれません。
いずれにしろ鉄道は経営視点に於いて大きな転換点に来ているものと推測されます。そして、専用設備やそれらの保守管理を抱える鉄道事業者は、単独での鉄道維持を「赤字発生装置」くらいの認識にて見ているものと思われます。鉄道が社会の基幹インフラの一端を担い続けている都合、私たちは鉄道維持に対して何かしらのアクションを示し、時には投資してでも維持に参加することになりそうに思った次第です。



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