本を買う基準の変化に寄せて

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本を巡る市場時勢は色々と混沌を極めているという話らしいですが、本が紙媒体のものから電子情報媒体として変化するということは「色々な基準が根本的に変わるという話」に帰結しているようであり、昨今は書店の基準から本を選ぶ基準に至るまでが色々と混沌と化しているらしいという話。そういえば昨今買った本はどこでどんな媒体のものを買ったか、というとそれはもう人それぞれに多様化してしまっていたという話であり…もう電子書籍登場以前の感覚では本は買えないのではないかとも思ってしまわずにはいられません。ちなみに中の人は、実家の本棚の買い換えられる読み返したい本をあらかた電子媒体のどこかで再購入したという話で、その大量の蔵書はいまとなってはタブレットの一枚のSDカードに格納されているというたいへんサイバーな話だったりします。

何故書店を巡る論争が尽きないか、というのはいち読者としてはナンセンスな話でもあったりします。要は「本から得られる情報が得られれば媒体は何でも良い」という話であり、本の価値もまた人によって様々だからだと考えています。電子版に於ける「サービス終了問題」は今なお悩ましい問題として横たわっていると聞きますが、買ってすぐ読めない本の価値はその程度であり、タイムリーに得た情報とそれによって享受される様々な感情価値こそが読書の醍醐味であると思っている次第です。「積みは文字通り罪」であり価値の喪失であり、本の価値は情報の価値に近いという感覚ですが、読書に纏わる価値観の相違やイメージの違いはいろいろと興味深い枠の話だったりします。

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おそらくは保存という概念でもって解釈すれば、紙の媒体の本の方が比較的長期保存に向いていると思われる次第です。しかし、保存が前提の書籍の価値はどうなのか? という問いには言葉に詰まる事もある次第であり…読書の奥深き色々な世界の一角を覗く行為として興味深い世界であったりもします。世の中は資本主義社会であり、著作権やら版権などの色々な諸問題を抱えるこの界隈の世界ですが、私たちは生鮮食品を求めるかのように「タイムリーに話題を食べたい」という願望でもって読書をしているのではないかという仮説を立てたいと思っている次第です。本の価値は保存食のそれよりも賞味期限は曖昧であり、時代によってその食感たる感想は千差万別とも言われていますが、やはり新鮮な食材のようにタイムリーに食すにはやはり恐ろしく早い伝達でもって流通網を駆け抜ける電子書籍にも利はあるのではないかと思っていたりします。

電子書籍 【名称】

主にインターネット上で流通する電磁的に記録された読み物の総称。 パソコンやスマートフォン・タブレットで閲覧用アプリや、専用の電子書籍リーダーなどで閲覧する。 (Wikipediaより)

多くの書籍は朝顔の花よりも賞味期限が短いなんて言われているようですが、多くの書籍が古本屋の肥やしのようになっている実態は…やはりそう言われても仕方ないのかもしれません。それでも本には価値があり、やがて古典文学や情報的価値のある記録として残されていくものもあるかと思われる次第です。ただ、その過程に於いての本の形は大きな変化を余儀なくされることは…間違い無いかとも思う次第です。それだけ本の出版量は増え、蓄積される情報量も増え、まして物理的な空間量も増え…となっては色々と耐えられないものが有るからです。電子媒体と紙媒体の一定の共存は求められるべきではないかと思う反面で、私たちはもっと本についての思慮と理解と分析を持ち、語り継ぐべき本を選別すべきではないかとも思う次第です。それはとても難しいことですが。

ただ、私たち「本の虫たるヘビーリーダー」の多くは昨今電子書籍を好むとも言われているようです。AmazonのKindleをはじめとする電子書籍サービスの多くはあの手この手で販路を広げそのシェアを確固たるモノにしていると聞きますが、それを確固たるモノに仕立てたのは…実は私たちかもしれません。電子書籍には販売サービスが多かったりアフィリエイト機能が充実していたりして、また意外な本との出会いは明らかに検索経由でのルートが多かったりという色々なギミック要素は、確実に本の虫を蟻地獄へと引きずり込んでいる実情があります。書店に行くことなく情報を得られ、なおかつその本そのものを得られる仕組みを整えられたというアドバンテージを誇る電子書籍は…紙の本を駆逐とまでは行かずとも赤字経営に追い込むくらいの力は持っていると思われる次第です。最近購入した本の「情報ルート」を特定すると…実はSNSからの個人のオススメルートやキャンペーンルートだったりする量のほうが多いかもしれないからです。

Amazon Kindle 【名称】

Amazon.comが製造・販売する電子書籍リーダーや電子書籍、電子書籍閲覧再生専用アプリ、または関連クラウドサービスなどの総称である。 Kindleといえば、多くは電子書籍専用端末およびKindleストアで配信されるブックサービスを指す。 (Wikipediaより)

さらには昨今、個人出版という更なる沼の出現に困惑する機会はめっぽう増えました。読み手には嬉しいような、フトコロ的に財布に厳しいような…玉石混交の混沌とした個人出版の世界もまた業の深い世界であり、楽しみ尽くせないほどの色々なモノを含んだ世界だったりします。リアルとデジタルの何が違うのかというとコンテンツの流通経路とそれに携わる人間の有無くらいであり…コンテンツをピックアップする人間の激増という良いのか悪いのかはさておきとして、これが昨今らしいコンテンツの楽しみ方という話なのかもしれません。

老若男女がスマホとタブレットで完全武装した昨今に於いてリアル書店の苦戦は続くモノと思われますが、結局読みたい本という「キラーコンテンツの登場」が電子書籍限定だったりすると…書店はどんどん追い込まれていくのかもしれません。しかし、どんな理由付けでもって擁護しようとも、私たちの読書アンテナの多くはインターネットのどこかからというのが圧倒的であり、そろそろ棲み分けを含めた構造改革のようなものが求められているのかもしれません。難しい話のようですが、簡潔に言うと「私たちは面白い本を読むためになら電子端末のひとつくらいは買うだろう」という話であり…わりと無慈悲な話だったという結論

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