バーチャルを支える現実社会の諸問題

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VTuberという一連のコンテンツがその市民権を獲得してかなりの時間が経ったように思いますが、バーチャルを冠したコンテンツ群を形成する人々による諸問題がここに来ていくつか顕著化するに至っているという事案を観測しています。実際のところ、彼らバーチャルキャラクターを形成するために多くの人々の労力が投入されており、その枠組みに参加する人口も増加の一途を辿っており、そこに人と人との折衝問題は必然的に発生するというのは至極普通の理屈ではあるのですが、バーチャルを冠したキャラクターが現実世界の諸問題に侵食されるというのはどうにも認識の追いつかない部分があります。

バーチャルキャラクターが現実世界で訴訟沙汰に巻き込まれるというのはイマイチ良くわからない展開ではありますが、それだけ多くの人の手を介していながらもキャラクターは一人歩きをしてしまうという象徴的な事態なのかもしれません。そもそもこのコンテンツ群はどこに向かって進んでいるかはまだまだ未知数の世界でもあり、初音ミクあたりから模索され続けてきたバーチャルキャラクターやコンテンツの在り方はまだまだ発展途上の世界でもあります。ファンとしては彼らの形成するコンテンツを見守ることくらいしかできませんが、現実世界の訴訟沙汰も受け入れられるかというと疑問符が残ってしまう次第です。

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YouTubeという舞台で繰り広げられるバーチャルキャラクターの宴コンテンツは日進月歩の勢いで増加を続けており、ひいてはニッポンのキャラクターコンテンツの文化形成に一役買ってしまった側面を持っています。その裏側にはキャラクター作成や中の人、それらをマネジメントサイドで支える人々などを経て彼らは活動たる活動を行っており、キャラクター部分は「コンテンツのハブ機能」として、中の人を含めたスタッフ部分は「運営機能」として機能しているコミュニケーション・コンテンツ群であり、これが現実世界でどんな世界観で構成されているかというと「人材派遣会社のそれ」だったりします。華やかなコンテンツ群の裏側はひどく疲弊しているという噂も絶えず、定期的に人的・法的問題に遭遇したり、収益化の基幹部分たるアカウント問題に発展する事態解決に追われたりと、なかなか香ばしい環境問題を抱えているという話は枚挙に暇がありません。

それでも多くの人がコンテンツを作り、キャラクターを作ってこのコンテンツ群に参加を希望するというのは、YouTubeという舞台に咲いたジャパニーズドリームなのかもしれません。しかし、その夢の饗宴の裏側には常に人的・法的問題に苛まれる人たちが存在し、ネット特有のややこしい問題解決に奔走を強いられるという側面を持っています。時に法的問題・国際時事問題を抱えるVTuber事情ですが、YouTubeという「世界に接続している動画サイト」を経ての活動がそれらをややこしい事態へと導いているのかもしれません。世界は思っているよりも多様性に対して不寛容だということを、YouTubeのコンテンツやコメント群からも観測出来るという話だからです。

国内でも不適切コンテンツの烙印からの訴訟沙汰があったり、中の人の中傷誹謗からの訴訟沙汰があったりと、これらバーチャルキャラクターのコンテンツでありながら現実社会で弁護士と裁判所を往来する機会が多いコンテンツも珍しいくらいですが、これからこれが国際問題に発展する可能性も出てきたとあって関係者はかなり緊張状態の中での運営を強いられているという話も聞きます。VTuberの発言ひとつで謝罪会見が発生するというのはまだゆるい部類なのかもしれません。世界という多様性が注目するコンテンツになればなるほど世界という不寛容からの洗礼を受ける羽目になるというのはなかなか皮肉な話ですが、そもそも日本のローカルコンテンツというガバガバに寛容な世界線を世界に向けて発信するというのはそういうことなのかもしれません。不寛容への図星を突く部分になるか、はたまた日本の特殊性を世界にアピールする結果になるかは誰にも予測できませんが、これらコンテンツ群に対して拒絶反応を示す一定数の人からの宣戦布告はあり得るかもしれません。

VTuberというキャラクターコンテンツが生み出した需要や人的エネルギーなどは確かに観測されましたが、それに対しての抵抗エネルギーのようなものも多数観測されました。VTuber界隈の出演者や関係者が謝罪会見を開く回数がどのくらいあったかは知らなくても良い事ではありますが、YouTubeというサイトの動画コンテンツが世界規模の影響力を持ってきたといえる昨今、二次元キャラクターを介したコンテンツ群がうっかり世界的影響力を持たないとも限らないわけで、実際にスパチャ(投げ銭)総額に於いて世界的に影響力を誇示したVTuber界隈は今後さらにその動向が注目されるコンテンツになり得るであろうという予測はされるものと思います。「日本の日常は世界の非常識」なんて揶揄もあったようですが、その日本発の非日常的なコンテンツが世界で猛威を振るうようになった昨今に於いて、VTuberは今後どんどん注目を浴びる存在になっていくものと思われる次第です。

「眠れぬライバーの中の人と、彼らに関わる多くのスタッフの頭痛のタネは増えるばかり」というオチを残して、饗宴は今日もYouTube上で繰り広げられるわけで。

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