モンスターは徘徊する

時事・事象・社会現象

「不要不急の外出を控えるように」という事態に対して「対応出来る」ところと「対応出来ない」ところははっきりとわかれ、対応の出来ない分野の人々は特別大きな不安とストレスに晒されていると聞きます。無論この事態によって極めて多くの人が外出の有無に関係なく苦境に立たされているという状況に変わりはないのですが、その中でも販売や小売業の接客対応者に極めて大きな負荷が掛けられているという状況が発生しているとのことです。この事態によって暴かれたのは「非常時に於ける人間性の歪み」であり、デマや煽動・その他自己中心的な行動などによってそれらの対応に追われる人々を多くの角度から苦しめているという話のようです。結局の所、あの大震災の教訓の多くがここで反復されることなく埋もれてしまったことを証明するに至ってしまったと言うことで、「喉元過ぎれば何とやら」という事態を目の当たりにするに至ってしまった次第です。

目に見えない災害が何を運んできたかという話ですが、ウィルスによる感染症そのものも持ち込まれたのは然りですが、それ以上に人間の疑心暗鬼による異常行動や迷惑行為及びそれに準ずる行為によってそれなりに安定していた社会規範が大きく乱れ、さらにそれらがSNSを通じて更なる疑心暗鬼を煽るという事態によってそれらの感情が増幅され、今となってはSNSの多くが全体社会的監視状態を形成しているとのこと。未曾有の感染症よりも人間の疑心暗鬼による心理的恐怖の方が未曾有の拡大を遂げているという話は何という皮肉な話なのか、世界で感染拡大が叫ばれている以上に心理的混乱の方が劇的に拡大しているというのは何かこう心に刺さるメッセージ性があります。ウィルスに対してのワクチンが現実味を得ればこれらの不安は解消されるものと推測されますが、一度崩壊してしまった人的信頼関係などの心理的要因についてはもはや修復不能のフラグが乱立してしまったかのようにも見えている次第です。

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このパンデミックによって、多くの個人感情をSNSなどで目撃する事態に苛まれたものと思われます。おそらくは見たくもない罵詈雑言や人格攻撃に埋め尽くされたタイムラインと、誰かに責任転嫁したくて仕方ないというような発言や行動が世界規模で発生していると聞きます。ある方面では「世界規模の戦争事態待ったなしなのではないか」などと囁かれているようですが、世界規模での責任追及や人格攻撃といった事態は既に発生済みの事態であり、重火器などの兵器を伴わない戦時体制はすでに形成済みであり実質的な心理戦線が展開しているあたりに「もうすでに実質的な宣戦布告は成されたのではないか」という疑念すらあります。世界中に拡散されたインターネット網によって発せられた情報群によって世界規模の混乱は発生しており、既に一部の経済界隈などで炎上レベルの混乱が発生しているあたりに「もう開戦している」という認識のほうが現実味を帯びているかもしれません。

世界規模で非常事態宣言が出された事によって、日常レベルの生活にも「非常事態」が発令されることになりました。マスクなどの衛生用品の買い占めはその発端の一角に過ぎなかったという話で、しばらくはこういった買い占めなどの類やそれに付随したデマや煽動に翻弄される日々が続きそうです。

ここで問題として考慮しておかなくてはならないのは「この事態に便乗する人が存在する」という話であり、この「世界規模の混乱を好機と捉えている人が存在する」という話であり、その類の行為や行動の中には社会規範や人道的行為から逸脱した行為なども含まれているという話であるという話。いわゆる「火事場泥棒」が横行し、この事態に乗じた詐欺や犯罪の類が頻発するのではないかという話です。災害によって人々の行動の多くが制限される事態のなか、敢えてそれに逆行する人たちが一定数存在するという理由のひとつが「火事場泥棒」であり、それらもまた過去の大震災に於いて相当数発生した事案でもあります。このたびのパンデミックに於けるそれらの「火事場泥棒」とは「風説の流布」であり、「デマや煽動による詐欺行為の類」が該当するものと思われます。緊急事態宣言に伴って多くの緊急対策が施行されるに至っていますが、日頃に類を見ない速達性の高い決まり事は少なくとも私たちに素早く正確に届かないことがあり、それらを逆手にデマや風説を濫用する可能性は過去の事例からもかなりの数が想定されます。

日々の情報を扱う放送メディアが「恣意的情報を扱う」ようになったと言われていますし、SNSには「根拠のない情報の類」が数多く存在します。それらを指摘注意し回避する事が暗黙で求められている反面で、それらを敢えて便乗的に利用する人も一定数います。また、それら便乗デマを選別できずに影響されてしまう人もまた一定数発生してしまいます。これらの情報に冒された人は「社会的モンスター」に変貌してしまい、時には事件沙汰になることもあります。この事態に陥ってからかなり経った昨今ですが、「俺はコロナだ」と喚き散らして警察沙汰になった人の話や根拠の無い情報による買い占めの横行、これらの情報に翻弄された人々のストレス性の疾患および迷惑行為など、出来れば知りたくない情報はSNSなどを通じて多くが供給されており、またそれらの被害を被った人の叫びを通じてもまたこれらの情報は供給されてしまいます。いま一番危険なのはこれらに翻弄される人間の心理であり、外出を控える以上に「無駄な情報収集を控えること」なのかもしれません。

感染症をもたらすウィルスよりも可視性に欠く心理的な事象を招く社会風潮。それは世界規模の感染症がもたらした二次的感染症であり、マスクや手洗いのような衛生対策では防げない「心を病む感染症」であり、誰かの意図や思惑とは裏腹に世界中を覆ってしまった「伏兵」なのかもしれません。だとすれば、このワクチン不在の二次感染症をどうすることも出来ないということになってしまいますが……。

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