ウェブがもうひとつの収益源として機能するようになって随分な時間が経過しましたが、情報戦略の場として機能する都合上「広告配信」が大多数の収益化構造を担うという実情を抱えており、ウェブの視覚的利便性は著しく減退するという憂き目に晒されている実情を抱えています。かつては回線帯域の脆弱性から比較的軽量なバナーやテキスト広告が主体になっていましたが、昨今の配信広告はポップアップバナーやレスポンシブバナーなどの大型の視覚広告が多数を占めるようになり、本来閲覧するはずのサイトの視認性に加え、スマホなどの小型デバイスでの操作性を厄介なものにさせるという側面を観測するようになりました。加えて、ニュースサイトなどでは有料記事化などの頻雑な収益化構造も一般化するようになり、とりわけ「検索で簡易的にニュース記事を探し出す」という行為がストレスを伴うものになってきたと言われるようになりました。
まだまだ未開拓なウェブの収益化手法があると言われていますが確立には至っておらず、今なお大量の広告配信に依存する旧来の方式が主流となっており、その姿は旧来のラジオやテレビメディアと同様に「広告ありき配信」の姿に落ち着いている実情があります。この手法そのものに大きな実害性は無いのですが、広告認知度を挙げるために広告の画面占有率を上げるという手法に傾倒しており、とりわけスマホでのページ閲覧をストレスフルなものにしている状況を観測し続けています。かつてサイト制作といえば「ユーザビリティありきのシンプルで視覚的にスッキリしているサイト」というのが定説であったのですが、今は「収益化=大量の広告モジュール」になりつつあり、甚大な利便性喪失を招いている状況になってしまっています。大手配信サイトほどその傾向は顕著であり、それでいて仕組みやデザインは旧来のままという状況も加味されることで、昨今の「ニュース検索離れ」を加速する一要因となっていると言われているようです。昨今はこの両者の間に多くの認識の乖離を生み出しているという情報も多く観測されるようになりました。
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ウェブの収益化戦略は今も引き続き「情報戦略」によって構成されており、その方向性は今後も大きく変わることはないものと推測されますが、その「情報戦略の背景」の事情は大きく変わってきたように思います。初期のウェブ戦略といえば「モノ・サービスを売り込むための情報戦略」であり、背景には物販やサービスサイトなどの提供物がありました。しかし、SNSや動画配信などがその比率を伸ばす過程に於いて情報戦略の方向性はかなり大きく変化し、「認知戦略そのものが情報戦略」という方向性を持つようになり、ウェブでの認知や評価に傾倒する傾向を見せています。情報発信や配信活動が単体で多くの戦略性を担うようになり、特に昨今は動画配信に於ける娯楽性のあるコンテンツを介してコミュニティ構成や情報共有をする活動が一般化するようになってきています。「SNS依存社会」と言われているようですが、この社会構造と情報戦略は親和性が高いという認知が広まり、昨今では「収益化=盤石な動画サイトでのチャンネル」という図式も確立されつつあります。
爆発的なYouTubeチャンネルの拡大の背景
YouTubeが動画コンテンツ利用に於ける収益化のガイドラインを策定し一般開放するようになって「YouTuberという概念」が誕生したといわれてる。GoogleがYouTubeを傘下に入れたのは「検索エンジンへのテコ入れ」だと言われていたが、蓋を開ければ「検索エンジンより認知されるようになった」というくらいにその認知度と利用頻度が増えた。以前検索エンジンは「検索広告」という仕組みで収益を得るモデルを採用しており、検索ワードありきの広告が検索上位の欄に表示されるだけの仕組みだったが、YouTubeの動画とSNS的な仕組みを組み込むことで多種多様な広告展開ができるようになった。また、収益化の枠組みを一般開放することで、その利用率が劇的に上昇するに至った。
この傾向は、「テレビメディアを駆逐する」勢いで拡大を果たしたと言われています。「個人が趣味で出来る配信」から「企業のプロモーション動画」までを一手に配信サイトに載せるYouTubeというサービスは「企業間広告による企業忖度ありきのプロダクト」に対して大きな影響を与えたと言われており、「いつでも観ることが出来る無限の選択肢のあるコンテンツサイト」という確固たる地位によって既存メディアを追い詰めていったといいます。YouTubeの収益化システムの一般開放によって配信収益を得ようとする「YouTuberの爆増」によってユーザーはテレビよりYouTubeを視聴するようになり既存メディアによる影響力は低下の一途を辿り、スポンサー広告の影響力低下と共にコンテンツ見直しなども加わることでテレビメディアなどは衰退していく道を辿っていくことになりました。大型スポンサーの撤退なども加味され収益的にも悪循環化してきたテレビメディアのコンテンツの質も並行して低下し、また当時「テレビ録画機」が著作権的な問題を抱え利用しづらい仕様を抱えていたことも「テレビメディア離れ」を加速する要因になったと言われています。
YouTubeも同様の問題を抱えていたのは他の放送・配信メディアと同様だったのですが、それらへの対応が国内の一般的メディアのそれらよりも劇的に素早く、規約変更や問題修正が数日の間に適用される柔軟さも相まって「スポンサーのテレビメディアからの乗り換え」は劇的な速度で進行しました。その後、多種多様なSNSサービスが相互リンクなどの関係を構築していく過程に於いて「テレビメディアがソーシャルメディアに歩み寄らざるを得ない状況」を作っていったと言われています。国内・海外にはYouTube以外の動画配信サイトも複数有るにもかかわらずYouTubeがトップランナーの地位を維持してきたのは「個人配信などにも注力していた」ことがあり、YouTuberという一ジャンルを確立するほどにその影響力を伸ばしてきました。やがてYouTubeも利用者向け有料サービスを展開することになるのですが、その圧倒的なユーザー数によって盤石な収益化を果たすに至っています。
YouTuberという社会問題について
昨今でこそ広く認知されるようになったYouTuberという肩書きだが、社会には今なおYouTuberという存在に対して懐疑的な視点を持っているケースが多いという。迷惑系YouTuberなどに代表される「注目のために度外視した行為に走る」という事件性のある行為が社会問題化するようになり、今なおそれらの注目願望に対する問題行為は指摘され続けている。また、顔出しをしているYouTuberが事件に巻き込まれたり社会的信用を毀損する行為に晒されるなどの深刻な社会問題を発生させたことによって「顔出しをしないことを前提とした」配信が求められる風潮が発生し、後の「VTuber」の誕生を後押しする遠因になったとも言われている。
現在はウェブでの収益モデルとして「動画配信」が一定の認知と手法確立によってビッグドリーム化する状況だと言われており、まだまだ伸びしろのある世界として普及と拡大を続けているといわれています。ただ、それらに付帯する諸問題の多くは未解決であったり解決そのものが難しい問題であったりと依然としてデリケートな部分を多く抱えており、現時点に於いては配信活動という世界は配信者と企業と視聴者が三人四脚状態で歩み続けている状況です。またSNSで可視化されるに至った悪意ある行為はそのままSNSと親和性の高い動画配信サイトへと飛び火しており、昨今は配信者および企業と悪意ある視聴者との間で訴訟問題が相次いだりと、その利用状況と治安維持の問題は極めて難航しているのが実情だったりします。配信倫理にまつわる諸問題も多くが未解決のまま平行線を辿っており、良くも悪くも旬すぎる話題を提供するに至っている次第です。
ウェブという世界にビッグドリームを生み出したGoogleのサービス群をはじめとしたウェブサービスたち。これから彼らが立ち向かっていくのは「倫理なきユーザー」であり「情報社会という金脈に悪化を垂れ流す悪意」だとまことしやかに囁かれており、「ソーシャルメディア」の名の示すが如く「社会の光と闇を映し出す鏡」として今後も機能し、相互に利用されていくものと思います。「富が余裕を生む」のであれば、それを求める「欲望が倫理を破壊する」という暗部が機能してしまう仕様上、ウェブにマネーゲームを持ち込むことに対してのしっかりとした思考と倫理が必要になってくるものと思われます。清貧か強欲かを迫られるウェブでの収益活動は、今後どんな光と闇を観測させてくれるのかが気になります。



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